借地借家問題

借地借家問題

賃貸人の方(大家さん・オーナーさん)へ~建物(土地)明渡請求

1 建物(土地)明渡請求

建物明渡請求「家賃をきちんと払ってくれないので、賃借人(借主さん)に物件から出て行ってほしい」「契約時の約束事を守らないので、出て行ってほしい」など、賃借人とのトラブルでお困りではありませんか。賃貸物件の明け渡し請求をお考えの賃貸人の方は、当事務所にご相談ください。

賃貸人の方にとって、賃借人の家賃滞納は、収入の減少となり、長期間にわたりますと、資金繰り等にも影響が出かねない重大な問題だと思います。

当事務所では、迅速な対応わかりやすい料金体系で、賃貸人の方の大切な資産の有効活用をサポートいたします。

2 賃貸借契約とは

賃貸人の方(大家さん)にとって、賃貸物件は自分が所有する土地や建物です。自分の土地(建物)だから、いつでも出て行けといえそうなのに、そうできないのはなぜでしょうか。
それは、賃貸人と賃借人との間で、賃貸借契約が成立しているからです。賃貸借契約が取り交わされることによって、賃貸人は、土地や建物を貸す義務を負い、賃借人は、土地や建物を使用する対価として、賃料を支払う義務を負うことになります。
したがって、賃貸借契約がある限り、賃貸人は賃借人に物件を使用させる義務を負うので、賃貸人は賃借人に出て行けということはできません。
しかし、逆に言えば、賃貸借契約がなければ(終了していれば)、賃貸人は賃借人に退去を求めることができます。賃貸借契約が終了するのは、主に以下の3つの場合が考えられます。

  1. 債務不履行(例えば、賃料の不払い)があるため、一方的に解除する。
  2. 契約期間が満了した
  3. 双方合意で契約を解除する。

3 債務不履行による解除

(1)解除の方法

債務不履行とは、賃借人が契約上の当事者としてなすべき義務を行わないことを言います。典型的には、賃料の不払いですが、それ以外にも、例えば、賃借人が禁煙ということで契約した部屋の中でたばこを吸うことや、ペット不可の物件でペットを飼っていたことなども賃借人の債務不履行にあたります。
法律上は、このような賃借人の債務不履行がある場合に、①義務を果たすよう催告し、②相当期間を経過してもまだ義務が履行されない場合に、③解除の意思を伝えることで賃貸借契約が終了するということになっています(民法上の解除の規定です。契約内容等によって、解除が認められる要件が変わってくることがあるので、詳しくは、専門家にご相談ください。)。
解除が認められるためには、①の催告や③の解除の意思表示をきちんと行ったということが必要です。後日、催告等がきちんと行われたかどうかが争いになることがあるので、催告等をきちんと行ったという証拠を残すためには、内容証明郵便を送る方法によることがよいでしょう。

(2)解除の要件 (信頼関係破壊)

当事者間の約束を賃借人が守らなければ、債務不履行にあたることは間違いありませんが、賃貸借契約は、ある程度の期間にわたり継続されることが想定されている契約であり、簡単に解除が認められてしまうと、物件を追い出されてしまう賃借人に重大な不利益が及ぶことになります。
そこで、判例により賃貸借契約を債務不履行により解除が認められる場合を限定し、単に債務不履行があっただけでは足りず、賃貸借契約が維持できないほどに信頼関係が破壊されていることが必要とされています。
極端な例ですが、賃料の支払が一日遅れた、友達がきて一本たばこを吸ったということを理由に、借家を追い出されてしまうのは、感覚的にも不合理ということです。
実務上、家賃を1か月遅れたというだけでは、債務不履行はありますが、信頼関係の破壊には至らないという判断となり、それだけでは解除は認められない傾向です。実務的な目安としては、概ね3ヶ月程度の家賃滞納があると解除が認められる傾向にあると言えると思います。※2ヶ月程度の滞納でも認められる場合があります。
ただし、信頼関係の破壊というのは、その事例ごとに、様々な事情を考慮して総合的に判断されるものですので、一概には言えません。家賃の滞納以外にも信頼関係を維持することが困難な事情があれば、滞納期間が短くても解除が認められる可能性もあります。
実際に明渡しを求める場合には、その時点での解除が認められるかを検討したうえで、催告等の手続きを進めていくことになります。場合によっては、信頼関係が破壊されたと言える状態になるまで債務不履行の状態を継続させてから催告をしたり、賃料不払い以外に、解除の原因となる事情があれば、その証拠を集めておくことが必要になります。

(3)明渡請求

これらの手続きを踏み、解除事由があるということであれば、法律的には、解除の意思表示が相手に到達した時点で、契約が終了していることになります。
契約が終了しているということは、賃借人が賃貸物件である建物や土地にいる理由がないということで、明渡の請求ができることになります。
実際には、③の解除の意思表示の内容証明郵便で、同時に、明渡を請求することが多いでしょう。その後、賃借人と実際の明渡時期、未払い賃料をどうするか、原状回復をどうするか等について話し合い(交渉)を行うことになります。

(4)解決までの流れ

弁護士に依頼された場合、弁護士は、あなたの代理人となり、法律的な解除の要件を満たすように事案を検討し、(1)①から③の手続き、(3)の交渉を行います。
ただ、相手側が「正当事由がないので解除は無効だ」などと主張して、解除の主張を認めない場合もあります。この場合、客観的にはこちらの主張が正しいとしても、裁判所の手続きでその主張の当否を決めてもらう必要が出てきてしまいます。
ご依頼から解決までの流れは、下図のようになります。

受任通知
あなたの代理人となり、交渉の窓口になったことを相手に内容証明郵便で伝えます。
このとき、賃貸借契約終了の要件を満たすために必要があれば、契約を解除する旨の通知、あるいは、支払の催告などを行います。
手続きの流れ
交渉
手続きの流れ不成立手続きの流れ合意成立交渉の結果、明渡について合意が成立すれば、明渡の期日を定め、合意書を作成し、履行を確認します。その際、未払い賃料の支払い方法や原状回復方法についても話し合いをして、合意書の内容とします。
(調停)裁判(訴訟提起)前に調停を起こすこともできますが、調停は、相手との間で合意が成立しないと解決に至らないので、解除を求めるケースではあまり利用しません。
手続きの流れ不成立
裁判
手続きの流れ手続きの流れ
合意成立
裁判手続の中で和解が成立する場合もあります。その場合は、和解調書が作成されて裁判は終了します。和解調書に記載される内容は、交渉で合意に至った場合に作成される合意書と同じようなものになります。
判決判決が出ても、まずは、その内容をどのように実現するか、賃借人と話し合うというのが実際です。
手続きの流れ
強制執行判決あるいは和解の内容(建物の明渡や未払い賃料の支払等)が話し合いで実現できない、あるいは現実の見込みがない場合は、強制執行の手続きを行います。

以上の手続きは、弁護士に依頼せずに、ご本人で行うことも可能です。
しかし、先に述べたように、法律的な解除の要件が適切に満たされているかの検討や、裁判所への書類の提出(特に裁判では適切な資料が提出されないと敗訴の可能性もあります。)など、法律的な知識が必要となる場面も多いので、弁護士にお任せいただくことをお勧めします。

4 契約期間の満了

通常の契約では、期間が満了すれば、その満了をもって契約が終了しますが、建物所有のために行われる土地の賃貸借や建物の賃貸借契約の契約終了事由は、借地借家法という契約により、賃借人を保護する方向に修正されています。
具体的には、借地借家法の適用のある賃貸借契約については、期間の定めがある賃貸借契約であっても、期間満了後に更新されるのが原則(更新拒絶が制限されている。)というような扱いになっています。
借地借家法の適用がある建物の賃貸借契約を、賃貸人が期間満了によって終了させたい場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に期間満了により更新しない旨を賃借人に通知する必要がありますが、それだけでは足りず、契約を終了させる「正当の理由」が必要になります。
正当な理由の有無は、以下の事情等を総合的に考慮して判断がなされます。

  1. 賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
  2. 建物の賃貸借に関する従前の経過
  3. 建物の利用状況及び建物の現況
  4. 建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して立退料の支払い提示があったかどうか、その提示の内容

また、借地借家法の適用のある土地の賃貸借契約についても、建物の場合と同様に正当の事由が必要とされています。
実際の解決までの流れは、3(4)債務不履行による解除の流れと同様です。
なお、借地借家法の適用がある賃貸借契約でも、定期借地、定期建物賃貸借の契約を締結していれば、契約の更新がなく、正当の事由も求められません。期間満了により賃貸借契約は終了します。
定期借地、定期借家を利用した賃貸物件の運営にご興味のある方のサポート(顧問契約となります。)もお受けしておりますので、当事務所にご相談ください。

5 合意による終了

これまでに述べてきたような「解除」や、「期間満了」と言った賃貸借契約の終了事由が認められない、あるいは、認められるかどうか微妙という場合でも、当事者間の「合意」で契約を解除することは可能です。
もっとも、このような場合には、賃借人に、契約を終了させるメリットがなければ、合意に至らないことは多いと思われ、立ち退き料などを提示するなどで、交渉をしていくことになると思われます。

6 強制執行

強制執行は、「建物を明け渡して出て行きなさい」あるいは「建物を取り壊して土地を引き渡しなさい」という判決が出ているにも関わらず、賃借人が物件に居座り続けている場合に、裁判所を通じて強制的に明け渡しや引き渡しを実現する手続きです。

「明渡判決が出たにもかかわらず、借家の中に、賃借人が居座っている」というケースを例として考えてみましょう。
強制執行をするには、まず、建物(土地)明渡請求の裁判とは別に、不動産の所在地を管轄する地方裁判所に、強制執行の申立てをします。
裁判所に強制執行の申立てをすると、執行官が実際に現場に出向いて、「期限までに建物を明け渡さなければ、明け渡しを断行する」と賃借人に催告をします。この明渡猶予期間内に、賃借人が明渡をしない場合は、執行官が建物内にある賃借人の所有物などを運び出してしまい(実際に作業をするのは、執行補助者である運送業者になります。)、建物を賃貸人に引き渡します(明渡断行)。

建物(土地)の明渡の強制執行においては、執行官に動いてもらうため、その費用などに充当する予納金を裁判所に収めることになっています。東京地裁の建物明渡しの強制執行の予納金は6万5000円程度ですが、予納金の金額は事案によって異なるので、事前に裁判所に相談が必要です。
さらに、執行官の指揮監督のもとに強制執行を補助する業者への費用(荷物を搬出したり、運搬する際の人件費、車両費等)を支払う必要があります。建物明渡の場合ですと、建物(部屋)の大きさや家財等の量にもよりますが、40万円から100万円程度の費用が掛かることが多いです(それほど大きくないアパートやマンションの1室の強制執行でも50万円程度は掛かります。)。
また、強制執行の手続では、執行官との面接や、実際に明渡を断行する際、立会いが必要になるなど、申立人ご自身にも動いていただく必要がありますが、弁護士にご依頼いただいた場合には、弁護士が立会いますのでご安心ください。

7.賃借人が死亡した場合

建物明渡請求賃借人が死亡した場合、賃借人の相続人が賃貸借契約を承継することになりますので、原則として賃貸借契約は終了せずに存続します。相続人が複数いる場合には、相続人間で遺産分割協議により、賃貸借契約を引き継ぐ方を決めてもらい、その相続人と賃貸借契約を維持していただければよいことになります。
また、相続人の方がどなたもお住まいにならない場合でも、相続人が積極的に賃貸借契約の終了、明渡しに向けて動いてくれれば、話し合いにより解決するだけですので問題ありません。

問題となるのは・・・下記の3つのケースです。

①相続人の連絡先が分からないので交渉すらできないケース

賃借人が亡くなり、相続人はいるようですが、連絡先が分からないため交渉ができないというケースです。
この場合、弁護士が賃借人の相続人を戸籍等により調査し、まずは相続人に連絡をとり交渉します。
交渉により解決ができない場合には、相続人全員を相手に建物(土地)明渡請求訴訟を提起する等の対応が必要になります。

②相続人が協力を拒否しているケース

当事務所にご相談いただくケースの中には、賃借人の相続人が賃料を支払わず、建物の明け渡しにも協力的ではないというケースが見受けられます。
そのようなケースでも、まずは交渉により明渡しや未払い賃料の支払いを求めますが、応じてもらえない場合には、やはり相続人全員を相手に建物(土地)明渡請求訴訟を提起する等の対応をすることになります。

③相続人がいないケース

賃借人の相続人がいない(相続人全員が相続放棄した場合を含みます。)場合、相続財産管理人の選任の手続を行い、家庭裁判所で選任される相続財産管理人との交渉によって建物明渡しを実現することになります。

8.賃借人が行方不明の場合

賃貸人が行方不明のケースというのは、通常、賃料の未払いも発生しており、賃借人と連絡が取れないという場合が多いかと思います。
このような場合、賃貸人において、賃借人の了解を得ずに家財等の残置物を運び出して処分してしまっても問題ないでしょうか。というご質問をいただくことがあります。
回答としては、このような状況であっても、賃貸人が賃借人に無断で家財等を処分してはいけません。
もし賃貸人が賃借人に無断で家財等を処分してしまいますと、民事上は、賃借人から損害賠償請求を受ける可能性がありますし、さらには住居侵入罪や窃盗罪等の犯罪行為にも該当するおそれがあります。
このような場合、まずは、賃貸借契約の連帯保証人や賃借人の親族の連絡を知っていれば親族等に連絡する等、賃借人の行方を調査し、判明すれば交渉して合意により退去してもらう方法が考えられます。それでも行方が判らない場合には、建物(土地)明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決をもらったうえで、強制執行という流れで解決する必要があります。
なお、賃借人が行方不明ということで、当事務所にご相談いただくケースの中には、弁護士が調査を行った結果、賃借人がすでに死亡していたというケースもあります。この場合には、上記7.賃借人が死亡した場合の方法によることになります。

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