Q&A よくある質問
離婚問題
- 3年前に妻と離婚し、子どもは妻が引き取り、私は養育費を支払うことになりました。元妻は2年前に再婚し、子どもは再婚相手の男性と養子縁組をして一緒に暮らしています。最近、勤務先の業績悪化により収入が減り、養育費の支払いが厳しくなってきたのですが、養育費を減額してもらうことはできますか?
- 養育費の金額は、あくまで離婚時の双方の経済状況を元に決定するものです。そのため、離婚後、「事情に変更を生じたとき」(民法880条)は、養育費を減額できるケースがあります。「事情の変更」とは、支払う側の減収、受け取る側の収入の増加、支払う側・受け取る側の家庭環境の変動(再婚、養子縁組)などが該当します。
ご質問のケースでは、あなたの収入が減り、子どもが元妻の再婚相手と養子縁組をして生計を共にしていることから、養育費の減額が認められる可能性があります。
減額を求める方法は、まずは元妻との話し合いによることになりますが、元妻が話し合いに応じない場合や話し合いがうまくいかないときは、家庭裁判所に対し、養育費減額請求の調停を申し立てることになります。 - 夫と離婚することになりました。夫は会社員、私は専業主婦で、婚姻中の収入は夫の給与のみでした。夫は、私が専業主婦であったことから、私には一切財産を渡さないといっています。家事や子育ては全て私が行っていたのですが、それでも財産をもらえないのでしょうか?
- 離婚時の財産分与は、婚姻期間中に夫婦が築いた資産を精算し、夫と妻で分ける手続きです。妻がいわゆる専業主婦であっても、妻が家庭を切り盛りすることによって夫の仕事を支え、夫婦の資産形成に貢献したと評価できますから、妻にも相当の取り分があります。
あなたが専業主婦であっても、家事や子育てを全面的に担っていたということであれば、婚姻中の夫の給与により築かれた財産は、財産分与の対象となり、一定の分与を受ける権利があります。 - この度妻と離婚することになりました。妻も私も、その後再婚する相手が決まっているのですが、すぐに再婚できますか?
- 男性であるあなたは、離婚後、すぐに再婚することができます。
しかし、女性には、離婚後に生まれてくる子の父親が誰かをめぐって紛争となることを防止するために「再婚禁止期間」があり、離婚の日から100日間は再婚することができません(民法733条1項)。ただし、(1)女性が離婚時に妊娠していなかった場合、または、(2)女性が離婚後に出産した場合には、離婚の日から100日以内でも再婚することができます(同2項)。よって、あなたの妻は、(1)または(2)に該当する場合を除き、離婚の日から100日間は再婚することができません。
なお、従来、この「再婚禁止期間」は6ヶ月とされていましたが、100日を超える期間の部分は違憲であるとの最高裁判断を受けて民法が改正されたことにより(平成28年6月7日公布・施行)、6ヶ月から100日に短縮されました。また、再婚禁止期間内でも再婚できる場合が明らかにされました。 - 離婚するにあたり、子どもの親権は母親の私がもつことになりました。子どもの姓が変わってしまうのがかわいそうなので、子どもの姓は今までどおりで、私だけ旧姓に戻したいのですが、それは可能でしょうか?
- 可能です。まず、離婚後の姓について、旧姓に戻るか又は結婚していたときの姓を名乗るかは、あなたの自由です(結婚時の姓を継続して使用する場合の手続きについては、こちらの質問をご参照ください)。
次に、未成年の子の親権は、離婚時の夫婦の話し合いにより、父か母のいずれかに決めることになります。
つまり、親の姓と未成年の子の親権の帰属とは当然に一致するものではありません。従って、あなたが子の親権者となって旧姓に戻っても、子は従来の姓をそのまま称することになります。 - 夫と離婚することになったのですが、周りの人には離婚したことをなるべく知られたくないので、婚姻時の姓を変えたくありません。そのようなことはできるのでしょうか?
- できます。結婚によって姓を変更した配偶者は、離婚時の選択により、旧姓に戻ることも、離婚の際に称していた姓を使うことも自由です。ただし、離婚の際に称していた姓を称するときは、離婚の日から3ヶ月以内にその旨の戸籍上の届出をしなければなりません。届け出先は夫婦の本籍地または届け出人の所在地の役所です。届け出の具体的手続や書類は役所の戸籍課等に問い合わせると良いでしょう。概略なら電話で教えてくれるところも多いです。
- 妻とは別居中です。先日、家庭裁判所から書類が届きました。申立人として妻、相手方として私の名前が書いてあり、調停をするので来てくださいと書いてあります。裁判所ではどのようなことを話せばいいのでしょうか?また、あまり妻と顔を合わせたくないのですが、弁護士さんに調停に行ってもらうことはできますか?
- 家事調停とは、夫婦や親子関係など、家庭に関する事項について家庭裁判所で行われる話し合いの手続きです。男女1名ずつの調停委員が、当事者双方の言い分を中立の立場で聞き、裁判官も関与しながら話し合いを進めていきます。
調停では、調停委員に、今のあなたの気持ちを伝えることになります。例えば、申立人(妻)が求める調停の内容が離婚であれば、あなたは、調停委員に、離婚に関するあなたの気持ち、親権(未成年の子がいる場合)や財産分与についてのあなたの考えを伝えることになります。
調停は、申立人と相手方が交互に部屋に呼ばれて話をしますし、待合室も別なので、調停手続で妻と顔を合わせることは基本的にはありません。しかし、あなたの言い分を調停委員に正確に伝えることが必要ですし、法律的な問題に話が及ぶことも多々ありますので、弁護士に依頼するメリットは大きいです。この場合は、弁護士が事前にあなたの気持ちや要望を丁寧におうかがいした上で実際に調停に同行し、あなたの言い分を法律的に意味のある主張にして調停委員にお伝えします。 - 調停を行い、財産分与や慰謝料について合意をして、手続きが終了しました。しかし、時間が経つにつれ、納得がいかない気持ちが強くなってきました。今から、調停で決まったこととは異なる要求をすることはできますか?
- 離婚調停において合意が成立すると、その合意内容について調停調書が作成されます。調停調書には、判決と同様の効力があり、例えば、調停調書に記載された金銭の支払いを怠った場合には、調停調書をもとに強制執行(差し押さえ)を受けることになります。
一方、調停調書には、「この調書の記載の他には、今後相互に金銭的な請求をしない」といった取り決めや、「この調書の記載の他には、相互に何らの債権債務が存在しないことを確認する」といった条項を盛り込むことが通常です。ですから、離婚に関連する事項については、調停で決まったことと異なる要求をすることは難しくなります。
そこで、調停で争いがある場合には、自分に不利な取り決めがなされないように、調停の段階から弁護士に相談・依頼することが望ましいといえます。 - 自分で離婚調停を申し立てたのですが、なかなか話がまとまらず、調停委員から調停は不成立にすると言われてしまいました。調停が不成立になった後は、どのような手続きになるのでしょうか?
- 調停が不成立となった場合、離婚を求める方法としては、相手方に対して訴訟(裁判)を起こすことになります。訴訟は調停と異なり、自分の言い分は事前に書面を作成して裁判所と相手方に提出し、双方の書面でのやりとりによって主張や反論をする手続きとなります。
また、離婚の原因や財産分与の対象など、相手方と言い分が食い違う部分については、証拠によってそれを証明していく作業も必要となります。訴訟を起こした場合でも、和解(訴訟手続内での合意)によって解決することもありますが、最後まで双方の言い分が合わない場合は、裁判官が、双方の主張と証拠に基づいて判決によって決定します。
訴訟は書面によって主張を闘わせる場であり、ご自身の言い分を書面にすれば良いというものではなく、書面において法的に意味のある主張が記載されているかが非常に重要になります。そのため、調停はご自身で対応された場合であっても、訴訟の場合には弁護士に依頼することをお勧めします。 - 離婚自体については納得しているのですが、相手も私も子どもは絶対に離したくないといって互いに譲りません。このような場合、子どもの親権はどのように決められるのでしょうか?
- 離婚に際しては、未成年の子の親権者を決める必要がありますが、当事者の話し合いで決めることができない場合は、家庭裁判所の離婚調停において話し合いがなされます。子が自分の意思をもつ年齢(12歳前後)に達している場合は、調停において、家庭裁判所調査官による調査(子の意思の確認)が実施される場合もあります。
調停でも合意ができない場合は、離婚訴訟において、裁判所が、子どもの意思、父母の生活状況、それまでの子どもとの関係、経済状況、周囲の援助の有無等の諸要素を考慮して、どちらが親権者となるのが子の利益になるかという観点から決めることになります。 - 離婚に際して、夫は「親権は譲るが、子どもとは定期的に会わせてほしい」と言っています。夫は子どもに暴力をふるったことがあるので、私は会わせたくないと思っています。また、子ども自身も夫を怖がっており、会いたくないと言っています。それでも夫と子どもを会わせなければならないのでしょうか?
- 一般に、両親が離婚しても、子が親と面会すること(面接交渉)は、子の利益・福祉にかなうとして、特段の理由なく制限することはできないと考えられています。
しかし、面接交渉を認めることが、子の利益・福祉に反すると考えられる場合には、面接交渉も制限されることになります。子の利益・福祉に反するか否かは、同居時における養育態度や暴力・暴言の有無、子の意思、面接を求める実質的理由から総合的に判断されることになります。
ご質問のケースでは、子どもに対する夫の暴力があり、子ども自身も夫を怖がり、会いたくないといっているとのことですので、暴力の内容、程度や頻度、子の拒絶意思の程度に照らし、夫と子の面会を認めなくても良いといえる可能性があります。 - 夫は会社員、私は専業主婦です。離婚する際に、夫の年金を一部もらえる年金分割という制度があると聞いたのですが、どのような手続きをとればよいのでしょうか?また、夫が年金分割に応じない場合は、どうすればよいでしょうか?
- 年金分割制度は、離婚後に元配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それをもう一方の配偶者が受け取ることができる制度です。
年金分割の按分割合について、夫婦間で合意が成立した場合には、合意の内容を証明する書類を作成することが必要になります(年金分割の種類によって、合意が不要となるものがあります)。
夫婦の協議によって合意ができないときには、家庭裁判所の調停や審判、離婚訴訟における手続きによって決定することになります。
具体的には、離婚調停に付随して、按分割合を定めることができます。また、離婚成立後も、按分割合を定める調停・審判の申立をすることができます。
また、離婚訴訟においても、付随して年金分割の按分割合を決定するよう請求することができます。
その他、年金分割の制度・種類や手続の詳細については、弁護士にご相談ください。
刑事事件
- 相談料はいくらかかりますか。
- 初回相談は無料です。2回目以降の相談でも、有料の場合は事前にご案内を致します。
- 示談交渉を代わりにやってくれますか。
- 弁護士が、被疑者・被告人に代わって示談交渉を行います。
- 家族から依頼はできますか。
- 弁護人を選任する権利は家族の方(被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹)にもあります。
したがって、ご家族からご依頼を頂くことも可能です。 - 家族は被疑者に面会をできますか。
- 逮捕段階においては、ご家族であっても、被疑者の方に面会をすることはできません。勾留中は、接見禁止がついていなければ、ご家族の方は被疑者に面会をすることができます。
なお、接見禁止がついている場合でも、弁護士は被疑者と面会することができます。 - 初回の接見だけの依頼をすることはできますか。その場合の費用はいくらですか。
- 初回接見のみのご依頼も頂いています。費用は、接見場所が東京都内の場合は、1回2万円(消費税別/接見時間1時間以内)でお受けしております(交通費別途、延長1時間につき5000円(消費税別))。東京都外の場合は個別にご相談下さい。
弁護士費用の詳細についてはこちらをご覧ください。 - 執行猶予判決とはなんですか。
- 執行猶予判決とは、刑の言渡しをする際、情状によりその執行を一定期間猶予して、その期間を無事経過した場合には、刑を受けることがなくなるという制度をいいます。
例えば、懲役1年6月、執行猶予3年の言渡しがなされた場合には、3年何事もなく過ごせた場合には刑務所に入る必要がなくなります。しかしながら、執行猶予期間中に再度罪を犯し、執行猶予が取り消された場合には、再度犯した罪の言渡し刑の期間に加えて、さらに懲役1年6月、刑務所へ収容されることになります。 - 本日、警察から夫が痴漢で逮捕されたという連絡がありました。夫は会社に行けなくなりますか。
- 逮捕され身柄を拘束されると、起訴されるまで、最大23日間身柄を拘束される可能性があります。通常の刑事事件の流れをご参考になさってください。
ご主人は本日逮捕されたということですから、本日から起訴されるまで最大で23日間は会社に行けなくなる可能性があります。 - 本日、警察に逮捕されてしまいましたが、仕事があるので、一刻も早く身柄拘束から解放されたいと思っています。いつから保釈を請求できますか。
- 起訴前の被疑者の段階では、保釈の制度はありません。保釈請求ができるのは起訴後からです。
どうしても早期に身柄を解放してほしいのであれば、在宅の事件として処理してもらうよう捜査機関にお願いをすることになりますが、聞き入れてもらえるかどうかは捜査機関の判断によります。 - 今朝、痴漢事件(都道府県迷惑防止条例違反)を起こしましたが、警察で全面的に罪を認め、調書をとって釈放されました。今後はもう警察に行かなくてもよいのでしょうか。
- いわゆる痴漢の事件(都道府県迷惑防止条例違反)については、逮捕直後の取調べで、罪を認めて争わないという被疑者については、調書を作成した上で被疑者の身柄を解放し、「在宅の事件」として処理することが多いようです。通常の刑事事件の流れをご参考になさってください。
しかし、釈放されたら終わりというわけではありません。在宅の事件であっても、捜査は続くことになりますので、取調べのために警察や検察から呼出しを受ける場合があります。呼出しに応じなければ、逃亡のおそれがあるとして、逮捕されることもあるので注意してください。 - 今朝、痴漢事件(都道府県迷惑防止条例違反)を起こしましたが、警察で全面的に罪を認め、調書をとって釈放されました。私にはこれまで前科はありません。今回の件は、どのような処分になるのでしょうか。
- 痴漢事件(都道府県迷惑防止条例違反)で罪を認めて争わず、前科がないという場合は、略式処分で罰金刑が科せられることが予想されます。ただし、略式処分とはいえ、有罪であることには変わりがありませんので、あなたは今回の件で「前科」がつくことになります。
- 痴漢事件(都道府県迷惑防止条例違反)を起こし、逮捕されました。被害者の方と示談をすれば、処分は軽くなりますか。
- 一つ後の質問にある強制わいせつ罪とは異なり、都道府県迷惑防止条例違反は親告罪とはされていませんが、起訴前に被害者の方と示談が成立し被害届を取り下げてもらえれば、起訴されることはまずありません。
他方で、起訴後に示談が成立した場合には、有利な情状として、判決で考慮されることになります。 - 強制わいせつ事件を起こし、逮捕されました。被害者の方と示談をすれば、処分は軽くなりますか。
- 強制わいせつ罪は、親告罪であり、法律上、被害者やその親族の告訴がなければ処罰できない犯罪とされています。そのため、起訴前に被害者の方と示談(和解)ができて、告訴を取り下げてもらえた場合には、不起訴処分で済むことになります。
起訴前の弁護士の活動としては、加害者に代わって被害者に謝罪の意を伝え、示談を成立させて告訴の取下げをお願いすることになります。ただ、示談を成立させるには、自分の行いを深く反省し、被害者の方に対し、心から謝罪することが第一です。処分が軽くなることは付随的な結果に過ぎないことをご理解いただいて、ご相談いただければと思います。 - 夫が覚せい剤使用・所持で逮捕されました。夫には前科はありませんが、刑務所に行くことになるのでしょうか。
- 前科がない場合、実刑判決が言い渡されて刑務所に行く可能性は低いといってよいと思われます。覚せい剤取締法違反(使用・所持)については、求刑1年6ヶ月に対して、1年6ヶ月の有期懲役に執行猶予3年の判決が下されるのが現在の実務の大半です。参考までに、大麻の使用・所持については、前科のない場合、求刑6ヶ月に対して、6ヶ月の有期懲役に執行猶予3年の判決が下されることがほとんどです。
ただし、薬物の量が異常に多かったり、転売目的があったりしたような場合は、前科がなくても実刑判決が言い渡される可能性はあります。 - 夫が覚せい剤使用・所持で逮捕されました。夫は以前にも覚せい剤使用の罪で逮捕されたことがあります。前回は、執行猶予(3年)付の有罪判決でした。今回は、刑務所に行くことになるのでしょうか。
- 前科がある場合は、執行猶予中の犯行の場合は当然ですが、実刑判決が言い渡されて刑務所に行く可能性は極めて高いものと思われます。
ただし、当事務所で過去に取り扱った事件では、前の刑の執行猶予期間満了から4年を経過していた大麻使用・所持事件で、執行猶予付きの判決が言い渡されたケースもありますので、前科があれば100%刑務所に行かなければならないというわけではありません。
民事事件
自己破産
- 住民票や戸籍に記載されるの?
- 記載されません。
役所で身分証明書という書類を交付請求すると、破産者であるという記載がされますが、勿論、一般には非公開で、第三者が勝手に交付を受けられるものではありません。
身分証明書の提出を求められる機会はほとんどないですし、その記載自体、免責決定が確定すると抹消されますので、記載されるのはごく短期間で、不利益はそれほど大きくないと思います。 - 選挙権はなくなるの?
- 選挙権はなくなりません。
選挙権は憲法で保障された大切な権利です。破産手続はこのような権利を奪う制度ではありません。 - 家族にも不利益が及びますか?
- あくまでも個人の問題ですから、ご家族に不利益が及ぶことはありません。
ただし、ご家族が住宅ローンを組む際に保証人になれないなど、事実上の不利益の可能性はあるかもしれません。
- 海外旅行には一生行けなくなる?
- そのようなことはありません。
破産手続中は、居住地を離れる際には裁判所の許可が必要ですが、破産手続終了後は何も制約はありません。生活の再建を果たせば、将来的に海外旅行に行くことは何ら問題ありません。 - 年金が受給できなくなる?
- 年金は普通に受給できます。年金の受給権まで奪われません。
- 自分が契約者の生命保険はどうなりますか?
- 掛け捨ての生命保険であれば資産価値はありませんので、保険料の支払いが遅れていない限り、そのまま契約を維持することも可能です。ただし、生活費の見直しの中で、契約を維持するかの検討は必要だと思います。
問題は、積立式の生命保険や学資保険です。契約者が自己破産する場合、原則としてこれらは資産となります。現時点で解約した場合の解約返戻金額を保険会社に証明してもらい、原則として20万円以上の返戻金がある場合には解約されて、債権者への配当に回されることになります。
持病等により、今後保険に加入することができないなどの事情がある方につきましては、裁判所の判断により、解約返戻金相当額を現金で納付することにより契約の維持が認められる場合があります。
生命保険・学資保険の扱いは非常に難しいので、詳しくは手続を依頼する弁護士等に相談してみてください。 - 勤務先をクビになる?
- 勤務先が、従業員が自己破産手続等の債務整理手続をしたことを理由に解雇することは不当解雇となり無効です。
ただし、破産申立以前に、貸金業者からの督促等が行くことにより勤務先に居づらい状況になる可能性がありますので、支払いが厳しくなった段階で、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。 - 貸金業者から嫌がらせを受けるのでは?
- ほぼないと言っていいでしょう。
弁護士や司法書士から通知をした場合、大手の貸金業者であれば嫌がらせ行為をすることはありません。以前は大手の貸金業者も厳しい取立てを行っていましたので、そのイメージで不安を感じて債務整理に踏み切れない相談者がいらっしゃるようです。しかしながら、現在、企業のコンプライアンス(法令遵守)が厳しくなり、大手の貸金業者がそのようなことをすれば、法律違反で業務停止等の処分を受けるリスクがある他、企業の存亡自体を左右する大問題になりかねません。嫌がらせがあるとすればヤミ金業者ですが、警察等の協力を得ながら対応していくことで、ほとんどのケースは収まります。 - 免責不許可事由って何ですか?
- 破産手続は、免責決定を経て晴れて債務の支払いが免責されるわけですが、一定の不誠実な債務者の債務については、免責を認めるべきではないということで、免責不許可事由というものが定められています。
ただし、免責不許可事由がある場合でも、多くの場合、最終的に免責決定が出されていますので、弁護士・司法書士にご相談ください。免責不許可事由の例
- 浪費やギャンブルなどで著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担した場合
- 破産者の財産を隠したり、壊したりして債権者に不利益な処分をした場合
- 一部の債権者に特別の利益を与える目的で担保を提供したり、弁済期前に弁済するなどした場合
- 虚偽の債権者名簿を裁判所に提出した場合 など
- 免責不許可事由って何ですか?
- 破産手続は、免責決定を経て晴れて債務の支払いが免責されるわけですが、一定の不誠実な債務者の債務については、免責を認めるべきではないということで、免責不許可事由というものが定められています。
ただし、免責不許可事由がある場合でも、多くの場合、最終的に免責決定が出されていますので、弁護士・司法書士にご相談ください。 - ギャンブルによる借金でも破産できるの?
- ギャンブル等が借金の主な原因の場合、免責不許可事由に該当しますが、現在の実務では、よほど悪質な場合を除けば、債務者の生活再建のために、裁判所の判断で免責決定を出してくれる事案が多いと言えます。
勿論、同じ過ちを犯さないという強い決意と反省が必要になります。 - 勤務先には知られてしまうのですか?
- 自己破産をしても、勤務先からの借入れがない限り(勤務先から借入れがある場合、会社も債権者として扱われます。)、裁判所から勤務先に通知が行くことはありませんので、直接知られることはありません。
むしろ、貸金業者への支払いができない状況で、自己破産手続等をとらずに放置しておくと、相手の業者から裁判を起こされる可能性がありますので、早期に弁護士等に相談することをおすすめします。 - 家族に内緒で手続できるのか?
- 守秘義務がありますので、弁護士から直接ご家族にお知らせすることはありません。ただし、間接的に知られる可能性は否定できませんので、その前にご自分で打ち明けることをおすすめします。また、借金の原因が生活費の不足等の家庭全体の問題である場合、ご家族に内緒にしておいては自己破産をしても抜本的な解決にはなりません。
一度免責決定を受けた場合、7年間は破産免責が認められないのが原則です。同じ失敗を繰り返さないためにも、ご家族に状況を打ち明け、ご家族が協力して生活の再建を図ることが重要です。 - 自己破産すると保証人はどうなりますか?
- 債務者が自己破産しても、その免責の効果は保証人には及びませんので、保証人は主債務者に代わり、返済する義務があります。
保証人に迷惑を掛けたくないという理由で、自己破産手続等の法的手続を躊躇する方がいらっしゃいますが、すでに返済が不可能な状況にありながら、結論を先延ばしにするのは、逆に保証人の方にも迷惑が掛かる可能性があります。
まずは弁護士等に相談し、現在の状況を客観的に把握することから始め、できれば事前に保証人の方にも事情を説明して理解してもらえるようにしましょう。 - 夫の借金は、離婚すれば支払いを免れる?
- そもそも借金は基本的に個人の問題のため、保証人になっていない場合には、原則として妻に支払い義務はありません。
また、保証人になっているかどうかが問題なのであって、結婚しているか(離婚したか)どうかは関係ありません。 - 滞納している税金はどうなるの?
- 破産しても税金の支払いは免れることはできません。
- テレビや冷蔵庫もとられてしまうのですか?
- 日用品については、そのまま所持が認められます。なお、クレジットで購入した物で、自動車やテレビなど価値のある物については、契約条件にもよりますが、後日、クレジット会社等に引渡さなければならない場合があります。
- 破産するとアパートは退去しないといけない?
- 家賃の滞納がなければ、そのようなことはありません。
なお、家賃の滞納がある場合には、契約を解除される可能性はあります。 - ローンの残っている自動車はどうなる?
- 通常、自動車ローンを組む際に、所有権留保が付いており、ローンを完済するまではローン会社や自動車販売会社が所有者になっています。このような場合、弁護士・司法書士から受任通知をすると、所有者から返還を求められ引渡すことになりますので、所持が認められません。
所有権留保が付いていない場合、自動車に価値があれば、破産財団に含まれ換価されることになりますので、やはり所持が認められません。例外的に、古い自動車で、価値が全然ない、という場合には所持が認められる場合があります。 - ローンの残っている不動産はどうなる?
- 最終的には不動産の所持はできなくなります。原則として、不動産は破産財団に組み入れられ、破産管財人によって換価されますので、所有は認められません。
例外的にローン残額が不動産の時価の1.5倍を上回る場合、破産財団から放棄され、破産手続上での処理がなされないのが通常です。この場合には住宅ローンの債権者(抵当権者)の対応に委ねられ、通常は競売の申立がなされ、買受人が現れると所有権を失います。
民事再生
- 弁護士や司法書士に依頼しないで自分でもできますか?
- 本を読んで勉強しながらやれば、ご自身でできないことはありません。
とは言え、個人民事再生は法律も複雑なうえ、今後の返済計画が非常に大事になりますので、専門家のサポートがあった方が望ましいと思います。
また、生活の再建は、その時点の債務を減らすだけ(自己破産や個人民事再生手続をするだけ)では完結しません。これまでの生活状況を見直し、同じ失敗をしないようにすることが大切です。そういった意味でも、第三者である弁護士や司法書士に相談しながら再生計画を立てることをおすすめします。 - 借金の原因はほとんどギャンブルですが、個人民事再生手続を利用できますか?
- 利用できます。
自己破産の場合には、免責不許可事由に該当する可能性がありますが、個人民事再生では免責不許可事由というものはありません。
ただし、再生計画の認可を受けるためには、履行可能であることが必要ですし、不誠実な債務者と見られる可能性があるため、ギャンブル生活から抜け出せていないと認められない可能性があります。 - 勤務先をクビになる?
- 勤務先が、従業員が自己破産手続等の債務整理手続をしたことを理由に解雇することは不当解雇となり無効です。
ただし、破産申立以前に、貸金業者からの督促等が行くことにより勤務先に居づらい状況になる可能性がありますので、支払いが厳しくなった段階で、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。 - 貸金業者から嫌がらせを受けるのでは?
- ほぼないと言っていいでしょう。
弁護士や司法書士から通知をした場合、大手の貸金業者であれば嫌がらせ行為をすることはありません。以前は大手の貸金業者も厳しい取立てを行っていましたので、そのイメージで不安を感じて債務整理に踏み切れない相談者がいらっしゃるようです。しかしながら、現在、企業のコンプライアンス(法令遵守)が厳しくなり、大手の貸金業者がそのようなことをすれば、法律違反で業務停止等の処分を受けるリスクがある他、企業の存亡自体を左右する大問題になりかねません。嫌がらせがあるとすればヤミ金業者ですが、警察等の協力を得ながら対応していくことで、ほとんどのケースは収まります。 - アルバイト(パート)でも個人民事再生を利用できますか?
- 安定した収入があれば利用できます。
ただし、実際に再生計画の認可決定を受けるためには、継続的な収入の見込みが必要になりますので、慎重な判断がくだされる可能性はあると思います。 - 自分の収入がない専業主婦でも、夫に定期収入があれば利用できますか?
- 利用できません。
申立てをするご本人に将来において継続的な収入がなければ認められません。 - ギャンブルによる借金でも個人民事再生は利用できるの?
- 利用できます。ギャンブル等が借金の主な原因の場合、破産の場合には免責不許可事由に該当します。
現在の実務では、よほど悪質な場合を除けば、債務者の生活再建のために、裁判所の判断で破産の場合でも免責決定を出してくれる事案が多いと言えますが、リスクはあります。
この点、個人民事再生では、借金の原因で利用できないということはありません。
ただし、小規模個人再生手続で不同意意見が出る可能性があるほか、実際に裁判所に申立てを行った時点でもギャンブルを継続しているような悪質な場合には、認められない可能性もあります。 - 勤務先には知られてしまうのですか?
- 個人民事再生をしても、勤務先からの借入れがない限り(勤務先から借入れがある場合、会社も債権者として扱われます。)、裁判所から勤務先に通知が行くことはありませんので、直接知られることはありません。
むしろ、貸金業者への支払いができない状況で、個人民事再生手続等をとらずに放置しておくと、相手の業者から裁判を起こされる可能性がありますので、早期に弁護士等に相談することをおすすめします。 - 個人再生手続をすると保証人はどうなりますか?
- 債務者が個人再生手続をしても、その免責の効果は保証人には及びませんので、保証人は主債務者に代わり、返済する義務があります。
保証人に迷惑を掛けたくないという理由で、法的手続を躊躇する方がいらっしゃいますが、すでに返済が不可能な状況にありながら、結論を先延ばしにするのは、逆に保証人の方にも迷惑が掛かる可能性があります。
まずは弁護士等に相談し、現在の状況を客観的に把握することから始め、できれば事前に保証人の方にも事情を説明して理解してもらえるようにしましょう。 - 任意整理で解決した方がいいのでしょうか?個人民事再生がいいのでしょうか?
- 利息制限法で引き直し計算を行うのは双方に共通しています。
端的に言いますと、個人民事再生の利点は、任意整理と違って元本のカットが期待できるという点ですが、裁判所を通じた手続のため労力と費用が掛かるのが難点です。
例えば、適法な利率で計算した結果、債務額が100万円となり、最低弁済額基準による計算結果も100万円以下だとした場合、個人民事再生手続をしても返済額は、100万円で変わりませんので、手続費用が比較的低額な任意整理が望ましいと言えます。
仮に債務額が250万円で、最低弁済額基準は100万円以下とした場合、手続費用と債務者ご本人の労力を考慮に入れても、返済額を100万円まで減らせる(可能性がある)個人民事再生手続を利用するメリットがあると思われます。 最も判断で迷うのは、債務額が160万円程度から220万円程度の場合です。
個々の事案ごとに最善の手続は異なりますので、じっくり弁護士、司法書士と相談しながら決めてください。 - 滞納している税金はどうなるの?
- 個人民事再生手続をしても税金の支払いは免れることはできませんので、全額支払う必要があります。
再生計画を立てる際、滞納税金の支払いも視野に入れて検討する必要があります。 - テレビや冷蔵庫もとられてしまうのですか?
- 日用品については、そのまま所持が認められます。なお、クレジットで購入した物で、自動車やテレビなど価値のある物については、契約条件にもよりますが、後日、クレジット会社等に引渡さなければならない場合があります。
- 個人民事再生手続をするとアパートは退去しないといけない?
- 家賃の滞納がなければ、そのようなことはありません。
なお、家賃の滞納がある場合には、契約を解除される可能性はあります。 - ローンの残っている自動車はどうなる?
- 通常、自動車ローンを組む際に、所有権留保が付いており、ローンを完済するまではローン会社や自動車販売会社が所有者になっています。このような場合、弁護士・司法書士から受任通知をすると、所有者から返還を求められ引渡すことになりますので、所持が認められません。所有権留保が付いていない場合、自動車に価値があれば、破産財団に含まれ換価されることになりますので、やはり所持が認められません。例外的に、古い自動車で、価値が全然ない、という場合には所持が認められる場合があります。
- 自動車ローン支払い中の自動車があるのですが、住宅ローン特則のように自動車を維持する制度はありませんか?
- 残念ながらありません。
通常、自動車ローンを組む際に、所有権留保が付いており、ローンを完済するまではローン会社や自動車販売会社が所有者になっています。このような場合、弁護士・司法書士から受任通知をすると、所有者から返還を求められ引渡すことになりますので、原則として所持が認められません。 - 住宅ローン特則は、事務所兼自宅でも利用できますか?
- 総床面積の2分の1以上が居宅(自宅)なら利用できます。
- 住宅ローンの抵当権の他に、事業資金の抵当権も付いていますが、住宅ローン特則は利用できますか?
- 残念ですが、利用できません。
- 個人再生委員とは何をする人なのでしょうか?
- 東京地裁では必ず選任されています。再生委員は裁判所が選任し(東京地裁では弁護士の中から選任している。)、裁判所の補助的な業務を行います。債務者の財産や収入の状況を調査したり、再生計画案の作成に際して必要な勧告をするのが主な仕事です。また、債権額に争いがあり、評価の手続が必要になった場合には、その手続についても裁判所の補助を行います。
- 個人民事再生の手続期間はどのくらいかかりますか?
- 個人民事再生手続による返済が実際に開始されるまでは、最低でも約1年程度はかかります。弁護士等が受任してから申立てまでにも数ヶ月間の準備が必要になります。準備と並行して個人民事再生手続による返済が現実に可能かどうか、弁護士等も判断させていただくことになりますので、事案によって申立てまでに要する期間は異なります。裁判所に申立を行った後、通常は7ヶ月から9ヶ月程度で再生計画の認可が確定します。
- 個人民事再生と自己破産との大きな違いは何ですか?
-
1.弁済金額の違い
個人民事再生手続は、住宅ローンおよび免責が認められない債務(税金等)を除いた借金(元本)の一部を免除してもらうことが可能な手続ですが、借金の一部は返済しなければなりません。
これに対して自己破産の場合には、一部の免責が認められない債務(税金等)を除くすべての借金返済が免除される点で大きく異なります。
再出発という意味では、自己破産の方が適しています。2.住宅の維持の可能性
個人民事再生手続の場合、住宅ローン返済中の住宅を維持する手続が用意されていますが、自己破産手続にはこのような手続はなく、原則として自宅を手放すことになります。
3.職業制限の存否
自己破産の場合、法律により一定の職業への就職が禁止(破産手続開始から免責決定の確定までの期間)されるデメリットがありますが、個人民事再生ではこのようなデメリットはありません。
4.借金の原因を問わず手続が可能
借金の主な原因がギャンブルや異常な飲食代等の浪費の場合、自己破産では免責不許可事由に該当します。裁判所の裁量により免責が認められることが多いとは言え、免責されないリスクもあります。
この点、個人民事再生手続では、破産でいう免責不許可事由がないため、借金の原因により手続が選択できないことはありません。(債権者の不同意意見が多い場合には、認められない可能性もあります。)5.信用情報登録機関(ブラックリスト)への登録
個人民事再生でも自己破産でも共通して登録されます。この点に関しては、いずれの手続でもそれほどの違いはないと思います。
6.官報への掲載
これも掲載内容が、「自己破産」か「個人民事再生」かという点を除き、掲載されるという点では共通ですので、それほどの違いはないかと思います。