自己破産

借金問題(債務整理)

自己破産とは

自己破産とは、「支払不能」の状況にある債務者が、自ら住所地を管轄する地方裁判所に破産の申立と免責許可の申立を行う手続です。
裁判所が、「支払不能」であることを認めた場合、破産手続開始決定が出され、続いて一定の免責を認められない事由(免責不許可事由)がある場合を除き、免責許可の決定が出されます。

債務者は、破産開始決定+免責決定を経て、晴れて債務の支払いを免れることになります。
なお、「支払不能」というのは、単純に債務額だけで決まるものではなく、債務者の個別の収支、債務額(利息制限法の利率に引き直し計算した後の債務額)等を総合的に考慮することになります。3年程度で返済が可能かどうかというのが一つの基準になるかと思います。

また、免責不許可事由(浪費・賭博等で過大な債務を負担した場合等)がある場合には、免責決定を得られない可能性もありますが、最近では、免責不許可事由にあたる行為があっても、裁判所の柔軟な判断により、免責が認められているケースも多いようです。 ご自分で判断せず、弁護士または司法書士に相談することをお奨め致します。

破産手続きの流れ

破産手続には、同時廃止事件と少額管財事件の2つがあります。どのような場合にどの手続になるかについて、ご説明いたします。

同時廃止事件 ※裁判所により若干異なります。

破産手続開始・免責許可の申立 ※申立から確定までに、3~4ヶ月程度の期間が掛かるのが一般的です。

※弁護士に手続をご依頼いただいた場合、ご本人が裁判所に行く必要があるのは、免責審尋期日の一回のみです(東京地方裁判所の場合。裁判所により異なります。)

手続きの流れ
破 産 審 尋
手続きの流れ
破産手続開始決定・同時廃止決定
手続きの流れ ※官報公告
免 責 審 尋
手続きの流れ
免責許可決定
手続きの流れ ※官報公告
免責の確定

少額管財事件

個人の破産事件のうち、多くは「同時廃止」と言って破産手続開始決定と同時に手続を終結する決定が出されています。
以下のような場合には、「同時廃止」という比較的簡便な手続ではなく、裁判所が「破産管財人」を選び、調査をさせる「少額管財」という厳格な手続となります。(以下は、典型例の例示です。)

  • 免責不許可事由がある場合
  • 給与の差押えがある場合やその恐れがある場合
  • 一部の債権者に不当な弁済があり、それを取り戻す必要がある場合
  • 過払い金返還請求及び回収が未了の場合
  • 換価することが容易な財産が(現金、預貯金、生命保険の解約返戻金、退職金見込額の8分の1または4分の1相当分などが、各項目ごとに1つでも)20万円を超える場合
管財費用について  ※同時廃止事件の場合は不要です。

管財費用とは、破産管財人に対する報酬で、裁判所に納めることになっています。
裁判所によって運用は異なりますが、東京地方裁判所では、少額管財の場合の管財費用は最低20万円です。
管財費用の支払方法は、最大4回(月5万円)までの分割払いを認める運用になっているようです。

※なお、少額管財手続の「少額」とは、管財費用が少額であるという意味です。通常の管財事件だと、財産の調査・換価の手続に手間と時間がかかり、管財費用が高額になって、債務者の大きな負担となっていました。そこで、財産関係がそれほど複雑ではない一定の事件について、管財費用を低額ですむようにしたのが少額管財手続です。ただし、少額管財の運用がされている裁判所は限られており、また手続を利用するためには弁護士が代理人となって申立をしなければならないなど、いくつかの条件があります。詳しくは当事務所にご相談ください。

破産手続開始・免責許可の申立 ※申立から確定までに、半年程度の期間が掛かるのが一般的です。

※財産がある場合はさらに時間がかかります。

手続きの流れ
破産管財人の選任
手続きの流れ
破産手続開始決定
手続きの流れ ※官報公告
管財人との面談
手続きの流れ
債権者集会・免責審尋
手続きの流れ
免責許可決定
手続きの流れ ※官報公告
免責の確定

※弁護士に手続きをご依頼頂いた場合、ご本人に裁判所に来ていただくのは、債権者集会と免責審尋の2回です。ただし、事案によっては債権者集会が複数回行われる場合があります。

※裁判所に来ていただくのとは別に、破産管財人との打ち合わせのために管財人の事務所に来ていただく必要があります。打ち合わせの回数は、事案によって異なりますが、通常は1回です。

自己破産のメリット

返済の免除

裁判所で免責決定が認められると、税金等一定の非免責債権を除き、債務の返済を免除されます。
返済を基本的にゼロにする手続ですから、究極の債務整理手続であり、債務者の方の再出発には最も適した手続であると言えます。

免責決定で免責されない債務(非免責債権)の例
  • 租税債権(滞納している税金)
  • 悪意の不法行為債権(横領や詐欺など犯罪で獲得したもの)
  • 故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(殴って負傷させた場合、飲酒運転で死傷させた場合などの慰謝料)
  • 従業員の労働債権
  • 婚姻費用、養育費等の請求権
  • 故意に債権者名簿から除外した債権
  • 罰金(刑事罰) など

債権者の取立停止

弁護士・司法書士から債務整理の依頼を受けた旨の通知(受任通知)を受けた貸金業者は、法律により、債務者の方への直接取立が禁止されています。
自己破産手続をご依頼いただいた場合、直ちに貸金業者に受任の通知を行いますので、貸金業者からの取立・督促はすぐにストップします。
以後、貸金業者は、受任している弁護士・司法書士のところに連絡をして来ますので、債務者の方は、安心して生活を建て直すことができます。
債権者からの取立は、弁護士・司法書士が代理人になることで一時的に止まりますが、最終的には破産手続等を取る必要があります。

返済の一時停止

自己破産を正式にご依頼いただいた場合、貸金業者に受任の通知を行います。
これにより、貸金業者からの取立が止まるのは上記のとおりですが、ご依頼者の方には、債権者への返済をストップしていただきます。
この制度により、破産手続の準備をする時間が確保できるほか、安心して生活の再建を図ることが可能になります。

自己破産のデメリット

信用情報機関への登録

弁護士・司法書士からの受任通知により、信用情報機関に事故情報が登録されることになります。俗に「ブラックリスト」と言われているものです。これがもっとも大きなデメリットと言えると思います。
一般的には、手続終了後、5年から7年程度の間、住宅ローン・自動車ローンなどのローンの審査が通らない、クレジットカードがつくれないなどのデメリットがあります。

一定の職種への就業禁止

破産手続開始決定は、各法律で職業制限が定められています。
警備員、保険会社の外務員、証券会社の外務員、弁護士、司法書士等の士業などの欠格事由となり、原則として就業が認められなくなります。
ただし、これらの不利益も、免責決定の確定(復権)により解消されます。

このような職業制限は、民事再生手続や任意整理にはありません。
自己破産を避けて民事再生手続や任意整理により解決を図れる場合もありますので、ご自分で判断せずに、弁護士・司法書士に相談されることをお勧めいたします。

官報掲載

自己破産手続や個人民事再生手続をしますと、官報という広報に住所や氏名が掲載されます。
債権者に対して上記手続が開始されたことなどを知らせる目的でなされるものです。確かに官報に掲載されることにより、自分が破産や個人再生をしたことを周囲の方に知られる可能性はゼロではありません。しかし、一般の方で官報を読んでいる人はほとんど聞いたことがありませんので、現実には他人に知られるという可能性は極めて低いと思います。
この個人情報をヤミ金業者が悪用し、ダイレクトメールを送って来ることがありますが、こちらから業者に連絡を取らなければ被害に遭うことはありません。無視していれば実害はありません。

破産者名簿への掲載

自己破産をした場合、役所が管理している情報に破産者であるという記載がなされることがありますが、第三者が無断で閲覧できるものではありません。
また、この情報は破産手続開始決定から免責許可決定の確定(復権)までの期間のみ記載され、復権により記載は抹消されますので、それほど大きなデメリットではないと思います。
また、誤解が多いようですが、住民票や戸籍には記載されません。

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